四時随順

俳句とエッセイ / やまだみのる

  • 利酒に御代りはなし蔵めぐり

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    利酒に御代りはなし蔵めぐり  みのる

    二月の吟行句会に備えて灘五郷の酒蔵を下見した。

    阪神の魚崎駅を降りてお目当ての菊正宗酒造記念館まで「清流の道」と名づけられた住吉川沿いの堤を歩く。とても温かい日だったので水量は少なかったけれど亀甲模様に敷かれた川底の石畳を走る小気味良い水音はさながら春の歌を奏でているようだつた。

    開館時間まで少し間があったので酒造記念館の前で待っていると大型バスから降りてきた韓国人と思われる団体が賑やかに到着、なんだか圧倒されてしまって思わずあとづさりしてしまった。館内の受付のお嬢さんの話では最近は日本人の見学者はほとんどなく韓国からの観光客がほとんどだという。

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  • ミサの鐘ひびき黄落急ぎけり

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    ミサの鐘ひびき黄落急ぎけり  みのる

    散歩道にある公園の大公孫樹もすっかり葉を落として天辺に青空が透けている。名所の燃えるような紅葉もわるくはないけれど、目立たない場所で人知れず散りつぎながら大地を覆っていく大公孫樹の黄落のほうが私の好みです。

    散っても散っても尽きることがないかと思われるころが一番美しい。やがて次第に疎になっていく梢をうち仰いでいるとゆったりとした季節の移ろいを感じる。

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  • 舎利塔の霊やすかれと山粧ふ

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    舎利塔の霊やすかれと山粧ふ  みのる

    JR広島駅の北側に見える二葉山の仏舎利塔は1966年(昭和41年)世界の恒久平和を念願し、原子爆弾の犠牲者の冥福を祈るために建立されたという。とても特徴的な形をしていて紅葉した山の頂上に白銀のごとく尖る姿はとても印象的だ。

    あの日から六十数年というときを経て街の風景や自然もすっかり復興した。昭和後期、平成と平穏な時代がつづき、この平和は永遠につづくものだと思うくらい幸せだったのに、昨今の世界情勢を見聞きしていると俄に不安が募る。

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  • 松天へ傾ぎ紅葉は池の面へ

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    松天へ傾ぎ紅葉は池の面へ  みのる

    俳句の学びを初めて七年が過ぎたころ紫峡先生から男性だけの吟行句会を発足せよとの指示が出ました。手元の資料を調べてみると平成二年二月に須磨離宮公園で第一回涼風句会が行われています。紫峡先生64歳、みのる47歳、いまから27年前のお話です。

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  • 紅葉燃ゆ平和を祈る碑に

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    紅葉燃ゆ平和を祈る碑に  みのる

    池田市久安寺にあるこの碑には次のように彫られている。

    『閃光の記憶に鶴を折りつづけ』

    俳句として詠まれたものかどうかは定かではありませんが素直な17文字で綴られたこの詩、あなたならどのように鑑賞されますか。

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